立正安国論謹講
立正安国論謹講
平成26年11月15日 改訂版第四刷
P4
ただ畏るは、御本仏の聖意の甚深なる、凡慮の遠く及ばざることである。ゆえにただ総本山第二十六世日寛上人の御指南を仰ぎ、御聖文を繰り返し心に念じつつ、謹んで本書を執筆させて頂いた。
昭和六十三年七月十六日 会長 淺 井 昭 衛
P25
「およそ『正』とは一の止まる所なり。一は謂く、本門の本尊なり、これすなわち閻浮第一の本尊なるがゆえなり、またこれ一大事の秘法なるがゆえなり、ゆえに本尊を以て一と名づくる者なり。止はこれ止住の義なり、すでにこれ本尊止住の処なり、あに本門の戒壇に非ずや。『立』とは戒壇を立つるなり。御相承に云く『国主此の法を立てらるれば、富士山に本門寺の戒壇を建立せらるべきなり、時を待つべきのみ』等云々」と。
以上「立正」の二字に三大秘法を含むことまことに明らかである。そして三大秘法の随一は「本門戒壇の犬御本尊」であり、この大御本尊を国立戒壇に安置し奉ることこそ、大聖人究極の御願業であられる。されば「立正」とは国立戒壇の建立にある。これが元意である。
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そして三大秘法の随一は、弘安二年十月十二日に図顕あそばされた「本門戒壇の大御本尊」である。
ゆえに「実乗の一善」とは、その実体まさしく「本門戒壇の大御本尊」の御事なのである。
この大御本尊を日本一同に信じ奉り、本門戒壇すなわち国立戒壇に安置し奉る時、日本は仏国となる。
されば「実乗の一善に帰せよ」とは国立戒壇を建立することにある。
ただしこの本門戒壇の建立は広宣流布の暁。でなければ実現し得ない。よって大聖人はこの大事を日興上人に命じ給うたのである。ゆえに一期弘法付嘱書に云く
「日蓮一期の弘法、白蓮阿闍梨日興に之を付嘱す。本門弘通の大導師たるべきなり。国主此の法を立てらるれば、富士山に本門寺の戒壇を建立せらるべきなり。時を待つべきのみ。事の戒法と謂うは是れなり。就中我が門弟等此の状を守るべきなり」と。
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次に場所については
「霊山浄土に似たらん最勝の地」と仰せられている。ここには地名が略されているが、前に挙げた一期弘法付嘱書」には「富士山に」と特定されている。さらに日興上人は富士山の中には南麓の最勝の地「天生ケ原」をその地と定められ、この御相伝により日寛上人は「事の戒壇とは、すなわち富士山天生原に戒壇堂を建立するなり」(報恩抄文段)と明記されている。